前回、金の歴史と評価についてお伝えさせていただきました。

今回は金の産出国、どのようなものに利用されているのかをお伝えしたいと思います。

金の産出国

✨金の産出量の多い国✨
順位 国名 産出量(トン)(2020年)
1 中華人民共和国(中国) 380トン
2 オーストラリア     320トン
3 ロシア         300トン
4 アメリカ合衆国(米国) 190トン
5 カナダ         170トン
6 ガーナ         140トン
7 インドネシア      130トン
8 ペルー         120トン
9 カザフスタン、メキシコ 100トン

中国

中国の金採掘事情が大きく変動した最大の理由は、近年の目まぐるしい経済成長です。資源量に恵まれ、多くの金埋蔵量がありつつも、長年、中国は技術的・環境的な理由で金を産出することが困難でした。

近年は、政府が中心となって多くの分野に技術や予算を投じており、金産業への投資も積極的に行われています。

代表的な金鉱脈および採掘場は、新疆ウイグル自治区・内モンゴル自治・区湖南省・山東省・福建省です。2010年に発見された新疆ウイグル自治区の金鉱脈は広範囲と言われており、2014年に100tの埋蔵量を記録しました。

また、中国とキルギスの国境付近に発見された薩瓦亜尓頓金鉱は、金脈を表す「天山山脈中央アジア黄金ベルト」に位置していることから、現在も調査が進められています。

オーストラリア

オーストラリアにおける金採掘の歴史は、1851年のイギリス人による砂金の発見がはじまりです。オーストラリアは、金脈の噂が囁かれつつも、本格的なゴールドラッシュを迎えるに至らない状態が続いていた中で、外国人による砂金発見の功績が呼び水となりました。

やがて、イギリス人やアメリカ人、中国人など世界中から採掘者が訪れ、ゴールドラッシュを迎えたオーストラリアでは1858年に69kgの金塊も発見されています。

オーストラリアの特徴は、当時より金の埋蔵量が多いことです。配分が比較的スムーズに行われたことから大きな争いも生まれず、ビクトリア州では大規模な金鉱が発見され、国内の金採掘はますます賑わいを見せました。

現在は当時の金鉱は閉山され、西オーストラリア州のスーパーピット鉱山が国内最大の露天堀金鉱山として知られています。

ロシア

ロシアにおける詳しい金採掘の歴史は、明確な資料が残っておらず、不明瞭な点が多々あります。

近年の情報によると、2005年にロシア政府は金産業発展のための国家政策に取り組んでいました。政策の目的は、金鉱山生産を増やすための新鉱床探査を国と中央銀行主導で行い、金保有量の10%積み増しを目指すことです。

また、シベリア・極東地域で鉱物資源の開発を進めるためにインフラ整備にも力を入れる一方で、国内企業による金の国外持ち出しを厳しく規制する計画も発表されています。

現在、ロシアの主な金鉱は、カムチャッカ半島やマガダン州、チュクチ自治管区など南西部に集中しています。しかし、2005年にはじまった金産業発展のための各政策により、今後はさらなる金鉱の拡大が起こり得るでしょう。

アメリカ

アメリカの歴史的なゴールドラッシュのはじまりと言えば、1848年のカリフォルニア州が挙げられます。製材工場建設のために水車用の溝を掘っていた現地住民が、最初に金を発見したことがニュースとなり、アメリカ国内外から多くの採掘者が訪れました。当時はアジアからも多くの中国人がカリフォルニア州を訪れ、金採掘のために移住しています。

1850年に金の採掘量が減少したことから、外国人の採掘に20%の税金が課せられるなど、外国人による金の採掘が次第に困難となりました。同時期にオーストラリアでゴールドラッシュが起こったことも影響して、1855年頃にカリフォルニア州のゴールドラッシュが終焉を迎えます。

現在はネバダ州のボールド・マウンテンやベツェ・ポストなどをはじめ、西部に点在する金鉱で金が採掘されています。

番外・南アフリカ

南アフリカにおける金採掘の歴史のはじまりは、1890年頃に金鉱脈が確認されたことによります。本格的に探鉱事業が開始され、1897年時点で世界一の金産出国として知られるようになりました。2020年のランキングでも10位に入っており、高い金産出量を維持しています。

金の産出量が減少傾向にある理由は、南アフリカを取り巻く政治的事情の影響です。アパルトヘイト政策の撤廃によって労働を強制される人々が減少したことによる産出量の減少であり、現在も埋蔵量は膨大と目されています。ただ情勢が落ち着けば、爆発的に産出量が上がる可能性もあります。

南アフリカの主な採掘場は、1952年より操業が続くハウテン州のドリエフォンテインです。

番外・日本

前回お伝えしました通り、かつては日本も多くの金が採掘されていました。1601年に鶴子銀山の山師が金鉱脈を発見したことで開山した佐渡鉱山をはじめ、日本各地にもさまざまな時代の金採掘の名残があります。

佐渡鉱山では、最盛期で年間約400kgもの金が採掘されていました。しかし、徐々に金の産出量は減少し、1898年に枯渇しました。

現在は、鹿児島県の菱刈鉱山が日本の主な金採掘場です。産出量はわずかながら、高純度の金が採掘されています。

鉱山からの産出量は少ない一方で、日本は多くの金が都市部に眠っている国でもあります。買取専門店による宝飾品などの買取に加えて、各電子機器で使用されている金の量が多いためです。リサイクル技術の進歩により、携帯電話などの電子廃材から日々金が集められており、中古金スクラップとして供給されています。

通信機器や電子機器に利用される金は、2008年時点で6800tに達すると期待されており、冒頭で紹介した世界の金産出量を遥かに上回る量です。鉱山からの産出が減少しつつも、高いリサイクル技術により、現代の日本は世界有数の「都市鉱山」として知られつつあります

金って何に使われている?金の使用用途

金と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりアクセサリー。

世界における金の消費量の70%を宝飾品が占めていると言われているため、当然かもしれません。

しかし、金は美術品や伝統工芸品、建築物、通貨、そして投資用の金地金などにも利用されています。

今回は、さまざまな分野で活用されている金の使用用途についてご紹介しましょう。

工業用品

電化製品のベースとなる回路基板の銅線や、部品を実装する部分などに金メッキが使用されています。

これは銅がむき出しのままでは酸化して錆びてしまうため、腐食に強く、電気の伝導性に優れた金を使用しているのです。

また、パソコンやデジカメといった電子機器の中にあるICチップを外部と接続させるための非常に細い線「ワイヤボンディング」にも金が使用されています。

ただし、コスト削減のためにアルミや銅を使用する場合もあります。

工業用品への使用は、糸のように細くしたり、薄く延ばしたりすることができる金の特性を活かした用途だと言えます。

さらに、電気信号を通しやすい導電性という特性もある点も電子部品にとってはメリットです。

他にも、半導体やLED、さらには紫外線に強いことから宇宙飛行士のヘルメットや人工衛星の保護材といった意外な分野で金は使われています。

テクノロジーに使われる金を使い捨てにせず、取り出して再利用する技術も日々研究されています。

東京2020オリンピックで使われた約5000個のメダルは、全国から使用済の小型家電を回収して集めた金属で製造されたことが話題になりました。

医療用品

医療現場でも金は活躍しています。その用途は検査時のコーティング剤やリウマチの治療などさまざまですが、一番知られているのは歯科材料の金歯でしょう。

口の中に装着するものですので、錆びてしまっては大変。そこで腐食性の低い金が向いているというわけです。

金はアレルギー反応を起こしにくく、長期間の使用にも向いています。

美容用品

美容の世界でも金は使われています。

その歴史は古く、古代エジプト時代には絶世の美女と謳われたクレオパトラが金を美容に取り入れていました。

金を使った美容法とは、具体的には金箔や金粉が成分に入ったフェイスパック・美容液などがあり、エステでは全身を金箔でパックするコースもあります。金を顔に塗るというだけで、気分も上がりそうですね。

金が美容にいいとされる理由はいくつかあります。まず、金には紫外線をはね返す性質があるため、日焼け防止効果が期待できるから。また、金には肌のターンオーバーとよみがえりに深い関係のある「生体電流」に類似した微弱電流が流れているため、くすみやシミを防ぐ美白効果があるからです。

食用品

金箔をあしらったソフトクリームやケーキ、金箔の入ったお酒は見た目の華やかさがありますね。

食用品に使われる金は食用金箔と呼ばれ、着色料・食品添加物として厚生労働省に認定されています。

食用金箔は不純物を取り除いているので、食べても人体に悪い影響はないので安心です。ただし、金箔は体内に吸収も蓄積もされずに体外へ排出されるため、特に栄養があるわけでもありません。

金は古代よりそのまばゆい輝きで多くの人々に愛されてきました。

金を使うことで、料理やスイーツは見た目がゴージャスにランクアップして見えますし、いただく方もリッチな気分を味わうことができますね♪

近年では、毎日金に触れている金沢の金箔師にガン患者が少ないというデータが発表されるなど、金が持つ健康効果も注目されています。

今後、さらに広い分野で活用されることが期待されている金属です。

まとめ

今回は金の産出量と使用用途について詳しく解説してきました。金を産出するためには広大な国土面積と技術が必要になります。そのためそれを兼ね備えた国が産出量でも上位を占めており、今後もその傾向が大きく変わることはないでしょう。もっとも今後南アフリカなど、まだ技術が追いついていない国が爆発的に産出量を伸ばす可能性は十分考えられます。

また使用用途から意外なほど私たちの生活に浸透している素材ということがおわかりいただけたと思います。特に医療や工業では金は目に見えない縁の下の力持ちといえるでしょう。

今後ますます金から目が離せなくなりそうですね♪