8月の誕生石であるペリドット。
石言葉は「夫婦の幸福・平和 ・安心 ・幸福 」。
ペリドットの鉱物種オリビンの語源はラテン語のオリーブで、実際にオリーブの実に近い緑で産出されます。
エジプトのアスワンの東300㎞の紅海に浮かぶセントジョーンズ島は、3500年以上も前からこの石を産出していました。ドイツ・ドレスデンの宝飾展示室「緑の丸天井」では、大粒のペリドットがはめ込まれた、18世紀の王家の剣や錫のコレクションが見られます。
ペリドットの歴史
ペリドットは古代から使用されてきた古い宝石のひとつです。エジプトでは、太陽神を国家の象徴として崇拝した時代、ペリドットは「太陽の宝石」と呼ばれ、ファラオたちの王冠や装飾品を黄金とともに埋め尽くしていました。その後、この石はローマに渡り、「夫婦の幸福」と記録され、王と王妃の愛情を結びつけたと言い伝えられています。
ペリドットという言葉は、アラビア語で「貴石、宝石」という意味の「faridat」に由来します。古代エジプト人は、Topaziosと呼ばれていた紅海にある島(現在のセントジョンズ島)で緑色の宝石を発見し採掘していましたが、その宝石は長い間「トパージオス」、「トパーズ」という名前で産出されていました。実はそれは「ペリドット」だったのです。中世の人々の間でも、エメラルドとペリドットがしばらく混同され、ドイツのケルン大聖堂の神殿に飾られた200カラットのペリドットをエメラルドとして信じていました。1904年に宝石質のオリビンがペリドットとしてようやく公式に認知されました。
ペリドットの性質
ペリドットのモース硬度は6.5〜7で、宝飾品として十分な耐久性があり、鮮やかなオリーブ・グリーンの色合いと独特の輝きが宝石として大変魅力的で、手頃な価格で入手できる宝石の一つです。
また高温高圧の地球の奥深い内部から産出され、遠い宇宙に散らばっている隕石と同じ成分を含んでいます。
地球誕生はもちろん宇宙を知る手掛かりになりうるとして、科学者らも注目している石でもあります。
鉱物学的には「オリビン」、宝石学では「ペリドット」と呼び分けられ、マグネシウムや鉄のケイ酸塩鉱物のカンラン石(olivine)の一種です。
日本名は「橄欖石(かんらんせき)」と言います。
ペリドットの原石である橄欖石(かんらんせき)は、地球の地下深い部分、マントルの中の上部マントル部分を構成する主要鉱物の一つです。
そのため、上部マントル部分には地表よりも沢山の橄欖石が含まれているといわれています。
ハワイのキラウェア火山などから吹き出した、マグマの中にペリドットが多く含まれていたとされる理由もコレで、地下に眠るペリドットが噴火によって地表に吹き出されたという訳ですね。
ちなみにペリドットはハワイでは太陽神ペレの涙ともいわれているそうです。
採掘は現在禁止されています。
また、ペリドットの色範囲は狭く、ブラウン・グリーン、イエロー・グリーン、純粋なグリーンがあります。上品質のものは緑色が強く、低品質のものは、褐色がかっています。最高級の色はほとんどミャンマーとパキスタンから産出され、アメリカのアリゾナ州や中国の吉林省から採掘されたものは標準品質と評価されています。ペリドットには内包物が少なく、一般的に透明度が高く、良い品質のものが市場に多く出ています。「リリーパット」と呼ばれる反射の強い円盤状の特有な内包物がしばしば見られます。カットの形状は様々なものがあり、オーバル、クッション、ラウンド、トライアングルなどが一般的で、グリーンとイエローから構成されたモザイクパターンによって研磨のバランスが良く取れているかどうかの判断ができます。また、手作業によって研磨と彫刻がなされたデザイナーカットはとても人気です。ペリドットの小さいサイズは比較的廉価ですが、10カラットを超えると価格が急上昇します。
ペリドットの色味と濃さは、含有成分である鉄やマグネシウムの量によって決まると考えられています。
鉄が多いとグリーンになり、マグネシウムの量が増えるとイエローが増すようです。
お色味には好みもあると思いますが、黄色や褐色を帯びていない澄んだオリーブグリーンは評価が高くなります。
ペリドットの産出国
・ミャンマー
・アメリカ(アリゾナ)
・ノルウェー
歴史的に有名なエジプトの紅海に浮かぶセントジョンズ島では、現在はほとんど採掘されていないのですが、そこから産出されたものが確認できれば、その歴史的な価値が大いに評価されます!
ミャンマー産
ミャンマーのモゴックは、ルビーの産地としても世界中で有名ですが、実はペリドットに関しても色味と輝きが非常に上質な物が産出します。
特に、オリーブ系統の色味が非常に強いことが特徴で、その上輝きや高い透明感も併せ持っています。そして通常5カラット以上の物が産出することが少ないペリドットなのですが、ミャンマーでは10カラットを超えるような大粒の物も産出することがあります

ミャンマー産のペリドット
アリゾナ産
アリゾナ州から産出されたペリドットは世界総産出量の80%を占めます。多くのペリドットが産出する反面、茶色や黒などの色味が強い低品質のものが多いのが特徴です。
ただし、アリゾナ産ペリドット全てが低品質なわけではなく、産出するものの中には非常に美しいグリーンを示すものもあります。なお、アリゾナでは、5カラット以下の小粒なペリドットがまとめて産出することも特徴で、小粒なことを生かして手ごろな価格のジュエリーに採用されることが多いです。

アリゾナ産のペリドット
ノルウェー産のペリドット
ノルウェー産のペリドットは、黄色味が少なく、ミントのようにみずみずしくて開放的なカラーはとても爽やかです。全体的なカラーが均一で透明感も高く美しい物が多いです。時には、良質なペリドットが多いと言われるミャンマー産の物よりも高い透明度を持つものもあります。
その澄んだ鮮やかな色味に惚れ込む方が多く、世界中にファンがいますが、採れる量が僅かなためとても希少。
宝石の色味は、その宝石の絶妙な成分のバランスで形成されていて、ノルウェー産の鮮やかなミントグリーン。
吹き抜ける風のように爽やかなその色は、ノルウェーの雄大な自然が育んだ、まさに『奇跡のカラー』です。

ノルウェー産のペリドット
世界最大のペリドット
現在までで発見されている世界最大のペリドットの大きさは310カラットです。このペリドットが見つかったのは、3500年以上に渡ってペリドットの採掘が続けられていた「トパズィオス島(ザバルガット/英名セントジョーンズ島)」です。
古代エジプト中王国から新王国時代に島での宝石採取がスタートし、第2次世界大戦後まで行われましたが、鉱脈の枯渇とエジプト政府による国有化とで1958年に閉山しています。
今現在この世界最大のペリドットは、スミソニアン博物館(アメリカ・ワシントンDC)に収蔵されています。
まとめ
ペリドットについて解説させていただきました。
ルビー同様、産出場所によって色が異なることがわかります。どの色味がお好みでしょうか??
ペリドットは、古代から高い人気があった宝石ですが、19世紀ごろよりほかの宝石も多く出回るようになったことから、一時期人気が低下した歴史もあります。しかし近年では、高い透明度と輝きを持つ宝石としてその美しさが見直される傾向にあります。
そして1カラット以下の小さいペリドットであれば数千円で買えることもあり、アクセサリー素材としても人気です。しかし、5カラットを越えると、ジュエリーとして使用されるケースが目立ちます。美しさだけでなく、古代からお墨付きのパワーストーン効果にも注目が集まるペリドット。
大切な人へのプレゼントに、または自分へのご褒美に、ビジネス用のファッションとして、いろんなシーンでペリドットの魅力を役立ててみてはいかがでしょうか。