ジルコンは歴史のある宝石です。アラビア語の朱色を意味するジャグーン(Jargon)が英語名ジルコンの語源です。にほんでは赤から黄色のジルコンがヒヤシンス(Hyacinth)と呼ばれていたので、和名では風信子石(ひやしんすせき)といいます。

かつてはダイヤモンドの代替品であり、様々な色相を産出するジルコン。

無色のジルコンは、ラウンドブリリアントカットにすると、高い屈折率と分散光が楽しめます。合成キュービックジルコニアが普及するまでは、ダイヤモンドの代替品として注目された宝石です。ただし硬度の低いので、カットによっては摩耗が早いのが欠点です。

ジルコンの特徴

1)火成岩から生まれ、風化作用に非常に強く、地球上で最も先に形成された鉱物で、時間を刻む微量な放射線が含まれるため、地質学者にとっては大事な年代測定の指標となり、初期の地球について語れる地質学的な時計の役割を持っていること。
2)屈折率(1.81-2.02)や分散度(0.039)や光沢などが非常に高いため、ダイヤモンドのような輝きと虹色のファイアが見られ、無色ジルコンはダイヤモンドの代用品に最も相応しいこと。
3)顕著な複屈折(二重屈折)を有するため、すべてのバック・ファセット面が二重に見えること。

地球が誕生してから1億6000万年後に最初の鉱物が形成され、ジルコンは最古の鉱物(44億年)として西オーストラリアで発見されました。

西オーストラリアで発見された小さなジルコンの欠片は、地球上で現在知られているなかで最も古い物質で、44億年前のものです(地球ができたのは、その1億5千万年足らず前のことです)。ダイヤモンドはそれに比べるとかなり新しく、たかだか33億年前のものしかありません。 カンボジアが華やかなブルージルコンの世界一の産地であるのはおそらく間違いありません。素朴でひなびた、驚くほど美しい地ラタナキリは、世界最高品質のブルージルコンを産出する、カンボジア産ジルコンの主要産地です。「ラタナキリ」とは文字どおり「宝石の山」という意味です。

ジルコンの伝説

ジルコンはいくつかの世界最古といわれる遺跡で出土しています。

ジルコンは文献にもジェムストーンの取引にもさまざまな名前で登場しています。たとえばジャーゴン(イエロージルコン)、ジャシンス(レッドジルコン)、マトゥラダイヤモンド(ホワイトジルコン)、スターライト(ブルージルコン)、ヒヤシンス(ブルー、イエロー、レッドジルコン)、リギュールといった名で呼ばれています。

ジルコンについて最初に言及されているのは、古代インドの「劫波の木(カルパ・ツリー)」の物語の中です。神への究極の贈り物としてヒンドゥーの詩人が描いたカルパ・ツリーは、葉にジルコンがちりばめられた明るく輝く木でした。

ユダヤの伝説では火のような星明かりのジェムストーン、ジルコンはエデンの園のアダムとイヴを監視するために遣わされた守護天使の名前だということになっています。

ジルコンは聖書のなかでは(赤いジルコンにジャシンスの名前をあてて)「火の石」のひとつである(エゼキエル書 28:13-16)とされ、モーゼに与えられ、モーゼの兄アーロンの胸当てにつけられた(出エジプト記 28:15-30)と書かれています。また、ジルコンはエルサレムの城壁の土台に埋めこまれた12の宝石のひとつ(黙示録 21:19)で、使徒シモンにゆかりの石とされています。

ローマの歴史家、大プリニウスは、ブルージルコンの色をヒヤシンスの花にたとえました。

伝統的に、ジルコンは純粋と無垢を象徴するジェムストーンです。ジルコンは心の安らぎをうながすと信じられていて、身につける人に知恵、名誉、富をもたらすとも言われています。また、ジルコンの輝きが失われると危険が迫っている前兆だという言い伝えもあります。

ジルコンの人気は、16世紀にイタリア人の職人たちがジルコンを主役に装身具をデザインするようになって劇的に高まりました。1880年代には、ヴィクトリア朝のジュエリーにブルージルコンが大いに使われました。

ジルコンの種類

ジルコンは異なる岩石内で成長するため、結晶内部に含まれる放射線元素によって長い地質年月の間に結晶構造が破壊されていきます。ジルコンは結晶構造の損傷程度と光学的な特性によって次の二種類に分けられます。

1:ハイタイプ
結晶の損傷が少なく、完全な結晶構造を持ちます。また、高い光学的、物理的な特性を持ち、1.92-1.98の屈折率と7.5の硬度を有します。宝石品質のほとんどはこのタイプに属し、青色、赤色、黄色、褐色、無色のジルコンはその代表です。

2:ロータイプ
放射線元素による結晶構造の損害が大きいため、光学的、物理的な特性も低く、屈折率は1.78-1.82、硬度も6.5に低下しています。緑色と褐緑色のジルコンはその代表です。

ジルコンの産出国

カンボジア

1890年代にカンボジアでサファイアが発見され、それに伴って多くの褐色のジルコンが採掘されてきました。北東部に位置するラタナキリ州から産出された褐色のジルコンを還元雰囲気(酸素濃度の低い)の環境下で800度の加熱処理を施すと、結晶構造の損傷が多少修復され、U4+イオンがZr4+イオンと置換し、青色が形成されます。さらに高温(1000度)にすると、損傷した結晶構造がほぼ完全に修復され、透明な無色のジルコンに変わります。大変不思議なことにカンボジア産以外の褐色ジルコンを加熱しても、このような青色には変化しません。

カンボジア産のジルコン

オーストラリア

 西オーストラリアのジャック・ヒル(Jack Hills)地域に地球最古の鉱物としてジルコンサファイアの最大の産出地であるニューサウスウェールズ州とクィーンズランド州の火成岩から、多くの宝石品質の天然無色と黄-褐色、希少色である赤色と青紫色などのジルコンが産出され、世界市場に一定の量を提供しています。

オーストラリア産ジルコン

スリランカ

スリランカで産出される宝石の総産量の35%は北部のエラヘラ地域が占めます。サファイアとルビーが発見される漂砂鉱床である「イラム」と呼ばれる砂礫の堆積層に非加熱の白色、黄色、オレンジ、褐色、淡青色、緑色のジルコンも多く発見され、その内、無色ジルコンは「Matara Diamond」と呼ばれています。ロータイプである緑色ジルコンも大変人気で、比較的安価で手頃に入手できる宝石です。

スリランカ産ジルコン

まとめ

地球最古の宝石といわれるジルコン。

ダイヤモンドの代替石となったり、名前の響きが似ていることからキュービックジルコニアと勘違いされたり、不遇な扱いを受けてきた印象もありますが、実に魅力溢れる美しい宝石です✨

さまざまな色が存在し、どの色も照り照りで虹色の強い輝きを放つのでついつい見入ってしまいます。

地質学的な時計のように、地球の歴史を知る上で重要な役割も担うジルコン。

金属ジルコニウムの鉱石としても広く利用され、耐腐食性に優れ融点が高い性質から原子炉の内壁や耐熱材料、セラミックスなどに使用されることも多いそうですよ。

本当に様々な形で私たちの生活を支えてくれているのですね!

こちらの記事を読んで、少しでもジルコンのイメージが変わった!と言ってもらえたら嬉しいです♪