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サファイアの魅力~大地のシンボル~
前回ルビーの特集でルビーとサファイアはコランダムと呼ばれる酸化アルミニウムでできた同一の鉱物とお話させていただきました。
今回はサファイヤの魅力について、解説させていただきます。
サファイアは、ラテン語で青を意味する「サフィルス」という語がその名の由来で、一日のうちのいろいろな空の色をしていることから「天の宝石」、「空の宝石」と呼ばれることもあります。
古代の人々は、自分たちの住む世界は巨大なサファイアの上にあり、空の青さはサファイアの大地を映した色であるとし、空気を敏感に感じるサファイアは、天候によって光り方が変るのだと信じられてきたといいます。
またサファイアは、王族や君主を危害やねたみから守るという意味もあり、古代より指輪や冠として重宝されてきました。
伝統あるイギリス王室でも、王冠やティアラなどの宝飾品に多く用いられています。故ダイアナ妃がチャールズ皇太子から贈られた婚約指輪が、サファイアであったことでも有名です。
産地によるサファイアの違い
1.インド・カシミール
2.スリランカ
3.ミャンマー
4.マダガスカル
サファイアは産地によってわずかですが見た目が違います。主な産地と種類をご紹介します。
インド・カシミール
紀元前7世紀頃からずっと愛され続けている長い歴史もあります。
サファイアと聞くと、サファイアブルーと呼ばれる、鮮やかな青色を思い浮かべる方が大勢いらっしゃることでしょう。
ラテン語で青色という意味のサファイアは、まさに青色宝石の王様👑
その中でも最高級といわれているのがインドのカシミール産コーンフラワーブルーのサファイアです。
「ヤグルマギクの花の色」といわれていて、その独特で滑らかな輝きは言葉で言い表せないほど美しい。
ロサンゼルス自然史博物館には、推定1億円のカシミール産サファイアがあるそうです。
しかし現在は、カシミールからは殆どサファイアが採れなくなってしまったといわれています。
なぜならカシミールのサファイアは100年以上前に枯渇してしまったからです。残念ですね。。。
今では殆ど産出されないことから幻のサファイアとも言われています。
スリランカ

スリランカ産のサファイア
憧れのコーンフラワーブルーに近い色合いをもつサファイアは、インドのすぐ近くにあるスリランカでも採れます。
スリランカでは「井戸を掘ると宝石が出てくる」と言われるほど、あちこちで宝石が出ることで有名なのです。
濃淡のバランス、透明度共に非常に高い評価を受けており、最高品質の物はカシミール産にも劣らないと言われています。少しだけ紫がかった青色は「セイロンブルー」などと呼ばれ高い評価を受けます。
またスリランカのサファイアの特徴の一つとしてシルクインクルージョンがあります。
シルクインクルージョンとは、コランダムによく見られる内包物で、細い針状のルチルがまるで絹糸のように見えることから名付けられました。
ルチルは酸化チタニウムのことで、加熱すると消えてしまうのです。
このことから、シルクインクルージョンは非加熱・無処理のサファイアの証といえるでしょう✨
またスリランカ産サファイアにはクロムが含まれるものが多く、このことからブラックライトを当てると蛍光反応を示すブルーサファイアは、スリランカ産の可能性が高いと考えられているそうです。
ミャンマー
ミャンマー産のサファイアの産出は少ないのですが、大粒で濃い美しいものが採掘されます。
ディープパープリッシュブルーで彩度の高い、美しいものは「ロイヤルブルー」と呼ばれ、価値高く扱われます。
ミャンマーのモゴック地方の採掘は、15世紀以前には始まったと言われていますが、サファイアとルビーとの産出量の比率は1対500で、圧倒的にルビーが多く産出されます。このことからもミャンマー産のサファイアは稀少価値が高く扱われています。
マダガスカル

マダガスカル産サファイア
現在のサファイアの主産地となっています!
1920年頃発見されていましたが、海外への輸出ルートの確保が難しかったことなど諸々の事情により、すぐに広く知れ渡らなかったのだとか。。
マダガスカル産サファイアがクローズアップされたのはつい最近、1990年に入ってからだそうです。
その後、1998年、マダガスカル南部のイラカカ村で世界最大級のサファイア鉱床が見つかり、
2016年に発見されたマダガスカル北部のべマイティ鉱山が発見され、発見当初、なんと100ctを超える大きな原石が次々と見つかったそう!
べマイティのブルーサファイアは結晶内部にクラウド(微粒子)以外の内包物が少なく、透明度と彩度が非常に高く、若干白みがかった柔らかいブルーで、
カシミールサファイアを連想させるような、上品で落ち着いた色合いです。
またマダガスカルは南北に長い島で、南部は変成岩起源、北部は玄武岩起源と起源の違うサファイアが産出されるそうです。
そしてマダガスカルでは様々な色のサファイアが採掘されています✨
青色だけではないサファイアの魅力
サファイアといえば青い石と思っておられる方が多いとは思いますが、実はサファイアには様々な色相があり、その中でも赤いものだけをルビーといいます。
コランダムのうち、赤と青以外を「ファンシーカラーサファイア」といいます。
そのうち、無職はカラーレスサファイヤと呼び、
他ピンク、オレンジ、イエロー、ゴールデン、グリーン、バイオレットは色相名を前につけて呼びます。
サファイアではまさに、どなたの好みにも合う色を見つけていただけます!
ゴールデンサファイアも稀少価値の高いものとなっておりますがファンシーカラーサファイアの中でも稀少なものを詳しくご紹介しましょう。
パパラチアサファイア
非常に稀少でコレクター向けのピンクとオレンジが混ざった変種は、業界ではパパラチャとして知られていて全宝石の中でも特別な人気を誇っています。
通常、このような宝石の価値は高く、他の多くの種類のファンシー サファイアよりもはるかに高くなります。その色の描写はとても複雑です。パパラチャ サファイアの色をサーモンやサンセットと呼ぶべきだと言う人もいます。しかしパパラチャという言葉自体は、蓮の花の豊かな色を表すサンスクリット語に由来します。蓮の花のような何とも言えないピンクオレンジの色味が魅力的ですね。
スターサファイア
スターサファイアは、その約90%がスリランカから産出されるといわれています。
3本の光が石の中央で交差して6条スターになっているものが一般的なのですが、この3本の光はそれぞれ「信頼」「希望」「運命」を表すという言い伝えもあるそうです。
また、稀に12条の光を放つスターサファイアもあります。
なお、このスターサファイアを存分に楽しむには、カボションカットであることが求められます。

6条ブルースターサファイア

12条ブラックスターサファイア
まとめ
サファイヤの魅力をご紹介させていただきました。
サファイアは原産国は多いものの、色味や稀少性でその価格は大きく異なること、特にパパラチアサファイアやスターサファイアの稀少性はきわめて高いことなどをお伝えできたでしょうか。
とても有名で、とても美しくて、とても身近なサファイア💎
ルビー同様、産地に色が異なり、それぞれに魅力を感じますし
意外な顔を知ると、より欲しくなってしまうかもしれませんね😊